研究概要 |
本研究は,能動学習による高次元領域内の最大球推定問題において,新しい幾何推論に基づく「外接多面体近似法」を提案し,理論的・実験的解析を通じてその有効性を評価することが目標である.本年度は,昨年度開発した外接多面体近似アルゴリズムを洗練し,システムを実装して実験によりその有効性を評価した.また昨年度提案した本手法に基づくエージェントの行動モデルについても検討した. ・まず外接多面体近似アルゴリズムを洗練した.具体的には初期設計点からの初期外接多面体の構成において,初期多面体が構成されない場合への対処法を見直した.また次に線探索する方向の決定において,誤差の処理をより頑健な方法に変更した.なお外接多面体近似アルゴリズムは次の要素から構成される. 1)初期設計点からの初期外接多面体の構成:初期探索方向の決定,線探索,多面体の構成,および多面体が構成されない場合への対処からなる. 2)外接多面体の最大球内接球の生成:双対性を用いた線形計画法を用いる. 3)次に線探索する方向の決定:外接多面体と最大球の中心を用いた二分探索法を用いる. ・洗練したアルゴリズムと昨年度開発したプロトタイプシステムに基づき,最終システムを実装した.実験により実装したシステムはより幅広い条件に対応することが確認された. ・昨年度,本手法を能動学習の観点から未知の環境において外界をモデル化しながらタスクを達成するエージェントの行動モデルとして形式化した.今年度はこのモデルを検討し,探索点の偏りに関する利点を明確にした.対象領域推定への応用に関しても結論を得た.
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