本研究では、画像データベース検索や物体認識における色情報の効果的利用の基礎研究として、下記の研究を行った。 (1)カラー画像の領域分割における画像空間情報の利用 クラスタリング手法を用いたカラー画像の領域分割法において、特徴(色)空間の情報だけでなく画像空間上の情報も利用する方法を検討し、評価を行って、入力画像に依らない固定のパラメータで種々のカラー画像を人間から見てほぼ適切に領域分割する手法を実現した。 (2)カラー画像の領域分割に用いるのに適した色空間の選定 カラー画像処理に使用する色空間の選定の問題の具体例として、カラー画像の領域分割において、色を表すのにどの色空間を用いたらよいかという問題を研究した。人間による色分類結果と領域分割結果をも参考にして、色空間の比較評価基準を設定し、比較評価を行った。 (3)カラー画像の領域分割結果の定量的評価 カラー画像の領域分割結果の良さを定量的に評価する方法を提案した。本研究で考慮した評価基準は、領域内部の色の一様性と、隣接領域間のコントラストである。これらの評価基準に対する具体的な評価式を提案し、それらを総合した評価関数を作成して人間の評価結果と比較した。過統合な領域分割結果を除いては、学習画像についても非学習画像についても、人間の行った評価結果とかなり合致する評価関数が得られた。 (4)画像処理応用における色情報の利用 上記(1)-(3)で得られた色情報に関する知見をさまざまなカラー画像処理において応用した。
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