研究概要 |
本研究の目的は,画像を,様々な方向と解像度(スケール)で解析するための理論的枠組を確立し,医用画像解析への応用によって有用性を実証することである. 「3次元局所濃淡構造フィルタリング」による特徴識別と定量化:研究代表者が「3次元線強調フィルタ」として提案した方法を拡張・一般化して,3次元ヘッセ行列の固有値解析に基づいて,エッジ・線・面・塊などの局所濃淡構造(3次元特徴)を識別・強調する方法を確立した.局所構造の方向性,3次元ヘッセ行列の固有ベクトルに基づいて決定し,複数のスケールで計算されたヘッセ行列固有値に基づく局所構造識別論理および多重解像度統合法を定式化した.医学応用において,腫瘍や血管などのボリュームビジュアライゼーションのための強調処理として特に効果的であることを実証した(IEEE T-VCGに採録決定).医用画像定量化への応用に関しては,MR画像から軟骨の3次元厚み自動計測(国際会議 MICCAI'99にて発表).および,CT画像からの血管の3次元方向自動推定による癌の良性/悪性診断(信学会・MI研究会にて発表)に応用した. 「方向空間(Orientation Space)フィルタリング」によるセグメンテーション:方向空間は,研究代表者が提案した概念であり,n次元画像に対して,方向を連続して変化させたGaborフィルタを適用して多重方向フィルタリング画像を生成することにより,「方向」という新たな座標軸を付与して形成される(n+1)次元空間である.方向空間フィルタリング法は,複数の交差する線のセグメンテーションの問題を,方向空間での2値化処理後の連結性解析に帰着させるものである.今年度は,方向空間フィルタリングに,スケール最適化を導入することにより,交差する線のセグメンテーション能力を最適化した(IEEE T-PAMlに採録決定).
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