研究概要 |
1.自然造形物の曲線・曲面の分析では,人工物との比較が有益である.自然造形物や人工物は複雑な形をしているものが多い.このため,本研究では分析手法の一部として,スプラインを用いたデータあてはめを利用してきた.そこで,筆者らが最近開発した手法の紹介をかねて,従来の手法をサーベイし総合論文として発表した. 2.自然造形物と工芸品における曲線を広く収集し,その性質を分析した.また自動車を中心とした工業製品における曲線の性質と比較し,特徴を明らかにした.その結果,自然造形物と工芸品における曲線は,筆者らが体系化した曲線群の中の発散型と定速型が大半であった.また,工業製品における曲線に用いられている収束型は,ほとんど存在しないことがわかった. 3.リバースエンジニアリングへの応用のための曲線の自動フェアリングシステムを提案した.本システムは,次の5つのステップから構成されている.(1)クレイモデルからのキーラインデータの抽出,(2)スプラインを用いたキーラインデータの近似,(3)曲率単調曲線の抽出,(4)曲率単調曲線の性質の分析,(5)視覚言語への置き換えとキーラインの再構成.提案手法はデザイナの意図する曲線を容易に生成できる特徴がある. 4.自動車のフロントマスクデザインは,ヘッドランプのことを'目'といったり,エアインテーク形状のことを'口'というように,よく人の顔に例えられる.本研究では,イメージという視点から自動車のフロントマスクや人の顔の形態要素間の類似関係を明らかにした.具体的には,主成分分析,クラスター分析を用いて自動車のフロントマスクと人の顔を4つのクラスターに分類し,各クラスターにおける誇張画の特徴を考察した.その結果,フロントマスクと人の顔との間には,一致する形態的特徴が数多く存在することが明らかとなった.
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