1.画像中の位置や大きさが未知の顔を、計算機によって自動的に認識するためには、顔認識処理の前に、顔領域を切り出す処理が必要である。この処理は顔検出と呼ばれる。本研究では、まず、複雑な背景をもつカラー画像から人物顔を検出するための新たな手法を提案した。提案手法は、人物の頭を直立した楕円で近似し、楕円内部には膚領域と頭髪領域を定義する。そして、画像中で楕円を生成しながら、楕円の適合度を計算する。楕円の適合度は、頭髪領域の境界線のエッジ画像とのマッチ度、膚領域内の膚色ピクセルの密度、および、頭髪領域内の輝度値がしきい値以下のピクセルの密度の和によって与えられる。そして、提案手法は、適合度が大きい順に画像中の顔の数だけ、楕円を出力し、これらを顔と判定する。実験の結果、提案手法により高い検出率で顔検出できることが確かめられた。 2.画像から顔の両目を検出することは、顔認識のための前処理として重要である。顔の両目を検出することにより、画像中の顔の位置、サイズ、傾きを決定できる。本研究では、次に、画像から顔の両目の虹彩を検出するための手法を提案した。この手法は、分離度フィルタを用いて虹彩の候補となる小領域を求めた後、両者を結ぶ線分の長さと傾きが許容値内にあるすべての虹彩候補の対に対して、ハフ変換と分離度フィルタを用いてコストを計算する。そして、コストを最小にする虹彩候補の対を両目の虹彩とする。実験の結果、提案手法により、百パーセントに近い検出率で両目の虹彩が検出できることが確かめられた。また、この虹彩検出法を用いて画像中の顔の位置、サイズ、傾きを正規化した後、テンプレートマッチングを用いて顔認識を行う顔認識システムを提案し、このシステムによって高い成功率で、顔認識できることが確かめられた。
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