研究概要 |
本研究の目的は、手話としての統語構造を満足し口形付き3次元アニメーションの自動生成が可能でネットワークアクセスも可能とするマルチメディア対応電子化辞書システムを構築することである。本研究では、対話コーパス部、言語解析部、アニメーション生成部および電子化辞書部と各機能別に検討を行った。その結果、下記の主な成果を得た。 1.対話コーパス部では、自然な手話対話の収集法について検討を行い、日本語の影響の少ない資料収集方式を提案した。提案した資料収集方式により994単語、約3,800対話例文コーパスの収集を行った。更に、収集コーパスを有益な資料とするための電子的なタグ付けを支援する対話映像解析支援システムの構築を行った。 2.言語解析部では、対話映像支援システムを用いた対話例文コーパスの解析から、手話の弁別特徴や形態素記述方式の検討し、文レベルのNVGS形態素記述モデルの提案を行った。 3.アニメーション生成部では、語構造記述にNVGS形態素モデル、非手指信号記述にはsIGNDEXを用いた調動の生成方式を提案した。アニメーションの読み取り精度を向上させるため、15基本口形の生成も可能とした。 4.電子化辞書部では、総語彙1,142単語より構成される手話単語データベースKOSIGN Ver.2とその例文の検索、口形付きアニメーション生成などの機能をもつインタラクティブな電子化辞書の構築を行った。 以上のように、本研究目的および実施計画はほぼ達成された。また、これら成果のうち、口形付きアニメーション自動生成に関しては、HIS2000で発表した"読話アニメーションシステムの構築"において2001年3月2日付けでヒューマンインタフェース学会学術奨励賞を受賞した。また、研究成果は電子情報通信学会誌、ヒューマンインタフェース学会論文誌、国際会繕において発表してある。 本研究の成果から、手話の詳細な言語分析や情報処理機器とのマルチモーダルインタフェースの要素技術獲得に向け、研究を継続・発展させる重要性を感じた。本研究の成果をうけ、手話の対話解析を通し認知科学的側面からの解析作業を続行している。
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