研究概要 |
本研究は,次の4項目に要約されるような目的をもっている. (1)ベイズ理論に基づく強力な学習アルゴリズムである期待値最大化アルゴリズム,すなわちEMアルゴリズムを一般化し,高速化を図る. (2)その高速EMアルゴリズムを用いて,動画像の変化情報を検出する. (3)人体形状の時間的変化を計測し,双方向で他のモードに変換できる情報形態を得る. (4)上記の項目で得られた手法を統合し,可搬性に富むヒューマンインターフェイスの実現を図る. このような目的の下に,平成11年度においては,以下のように論文として発表した成果を得た. (a)高速期待値最大化アルゴリズム,すなわち,研究代表者が提案したα-EMアルゴリズムについて,厳密な意味での収束証明と高速化条件の確認を行うことができた. (b)評価規範としての期待値関数を,マルチモーダル情報に対応する多様な場合について解析的に求めた.これは,特に,オプティカルフローを用いた動画像処理について重点的に行った. (c)人体と手の形状を入出力するためのドライバープログラムを作成し,期待値最大化を用いるための準備を行った. (d)異質なモード間の情報変換を実現するときの出力系としては,人物表情の表現システムを構築した. これは,{情報圧縮,表情,3次元要素}の三項目を実現したものとして,初めてのシステムとなっている. (e)カメラからの動画像入力と人体形状の変化情報との統合を図るためのプラットホームを,ソフトウエアとして実現した. 平成11年度においては,以上のような成果が得られ,最終年度への十分な準備となっている.
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