研究概要 |
昨年度,本課題テーマで完成させたロボットシステム(グローバルビジョンカメラ,ホストPC,画像処理専用ボード,無線通信装置,ロボット本体5台から構成)の改良を以下の様に行った.第一に,ロボット本体のモータ制御を行っている電子回路の改良により,走行速度の向上(約2.5倍,最高速度約1m/s)と消費電力の低減化とが可能となった.第二に,天井に設置したグローバルビジョンカメラから入力される画像の歪みを最小2乗法に基づいて補正するシステムを開発し,評価実験を行った.その結果,画像歪みに起因する認識誤差を約10分の1以下にまで減少させることができた.第三に,グローバルビジョンの画像処理速度を,画像処理専用ボードのプリフェッチ機能を生かして2倍程度にまで向上させた. また,昨年度までに開発した本ロボットシステム用のシミュレータ(Java言語)の改良も行った.昨年度までは,実機のシミュレート機能だけであったが,今年度は,グローバルビジョンによる画像認識結果のモニタ機能と,人間がロボットに行動コマンド等の指示を与えるためのコマンド機能とを追加し,現在も開発中である.次年度は,このシミュレータを完成させ,ロボットの走行を制御しているリモートブレインのプログラム開発に積極的に利用する予定である. ロボット制御アルゴリズムに関しては,正方格子状のシンプルなロードマップを用いた経路計画法を考案した.あるグラフ上に限定された中での最短経路ではあるが,高速に探索できる利点があり,次年度は,リモートブレインの中に組み入れる予定である.また,昨年度に考案した強化学習を用いた最適経路計画アルゴリズムの高速化も行った.これにより,約100倍の学習速度を得ることができた.さらに,複数台ロボットの経路計画問題への応用も試み,現在は予備実験を行っている段階である.次年度は,複数台ロボットの経路計画問題における本格的な評価実験と,ローカルミニマムからの脱出法に関する研究を行う予定である.
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