研究概要 |
本年度は,3年間に渡った当研究課題の最終年度にあたる.昨年度までに作成したロボットシステムに関しては,以下の改良を行った.第一に,グローバルビジョンにより取得した画像の色抽出処理を高速化し,実時間(30fps)での画像処理速度を達成した.第二に,フィールド上に仮想的なロードマップを設定し,そのマップ上の最短経路をグラフ探索手法(ダイクストラ法)により計算する経路計画方式を組み込むことができた.この経路計画方式では,交差点でのロボットの回転に要する時間的コストをも考慮することができる.まだ,障害物が静止した静的環境下ではあるが,実際にグローバルビジョンからの画像を処理し,リモートブレインが大域的な最短経路を探索した後,ロボット本体をその最短経路に沿って走行させる実験に成功した.さらに,この際,グローバルビジョンからの画像情報に基づくフィードバックの有効性も合わせて検証することができた. 上記のロボットシステムとは別に,離散最適化問題としての移動ロボットの走行誘導方式と経路計画方式とに関する研究結果をまとめ,論文誌上で発表した.本手法は,従来からあるポテンシャル法において,各時刻ステップにおいて位置・姿勢の推定問題と行動計画問題とをそれぞれ別の離散最適化問題として定式化し,各問題の目的関数中の重みパラメータを強化学習の一種である方策勾配法により実機ないしはシミュレータ上で学習するという方式である.パラメータの学習則の有効性はシミュレーション実験を行うことにより検証した.また,複数台のロボットの経路計画法としても応用が可能である.
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