研究概要 |
動的環境からの複数の感覚情報の統合に基づくロボットのリアルタイム制御と行動の学習を実現するために,マイクロコントローラのネットワークとシステムコントローラとからなる並列分散処理による制御システムの構築を行った.マイクロコントローラ群が多数のセンサやアクチュエータのリアルタイムな入出力処理を,システムコントローラが統合・制御情報の生成のための処理をそれぞれ実行することにより,システム全体のリアルタイム性、センサ/アクチュエータの数や機能に対する拡張性,モジュ-ル化されたソフトウェアによる制御情報処理の柔軟性などが達成可能となる.マイクロコントローラネットワークとシステムコントローラとの間は高速ブリッジにより接続され,制御システム内の全てのコントローラはマルチマスタモードで通信可能であり,各コントローラ内では,分散配置されたリアルタイムOSによる優先度に基づくマルチタスク処理が可能である.またシステムコントローラでは,ホストコンピュータとの無線通信により,マルチエージェントロボットシステムにおける行動学習のためのソフトウェアも実行される.周辺環境情報については近接センサと超音波センサ,局所的環境情報については複数のCCDカメラを用いた視覚センサからの入力をそれぞれ別々のコントローラが分散処理し,障害物と目標までの距離と方向を計測して,環境の状況に応じた制御情報を生成するシステムを構築し,通信時間,制御周期などの制御システムの基本的性能の測定を行った.また,独立2輪駆動型の移動ロボットを用いて,複数アクチュエータの分散制御による軌跡追従移動制御の精度を測定した.以上の実験的評価により,構築した制御システムの有効性を確認した.
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