1.従来のデータベースでは、あらかじめ設計されたデータベーススキーマのもとで決められたフォーマットのデータが格納されることを前提としてきた。最近研究され始めた半構造データは(共通した概念のものであっても)個々の構造が微妙に異なるデータのことで、厳密なデータベーススキーマをあらかじめ設計することは困難である。WWWの進展や文書データの電子化等で半構造データは急激に増加しており、そのような半構造データが処理できるデータベースシステムの設計は重要な課題になっている。 2.半構造データであっても満たすべき性質をあらかじめ分析・抽出することは可能であり、本研究では特に属性の型に着目し、半構造データ特有の曖昧さを含む型に関する情報が表現できる制約を導入し、その制約に関する基本的な問題を解くことを目的とし、本年度は以下の成果を得た。 3.経路式の航行可能性問題(指定された経路に沿って航行可能な制約を満たすデータベースが存在するかどうかを判定する問題)について、それを解くために有効な完全な公理系を求めた。 4.一般に、経路式の集合をCFLに限定しても上記の問題は決定不能であるが、正規集合に限定すれば決定可能であることを示した。 5.上記の問題が決定可能な場合でも、その時間計算量は指数時間以上になり、多項式時間で解ける実用的な部分クラスを求めることが今後の課題として残った。
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