「身装」画像データベースの検索項目を設定するにあたり、服装を中心とする「身装」をささえる「情景」を検索項目のひとつとして取り入れるアイデアを提案し、12の検索項目と身装画像概念コード表を設定した。さらに、このアイデアを前提として、関連画像の分析を行い、その妥当性を検討した。 「身装」の概念であるが、この言葉はつぎのような内容を示している。「身装」とは、人が衣服・アクセサリー類を身につける行為、化粧・結髪・入れ墨などの身体加工についての社会的・感覚的価値観、ジェスチャー・マナーなど身体の挙措をふくめての身体観を意味し、それ自体を風俗現象の一部としてとらえることができる。 今年度とくに分析の対象とした関連画像データは、風俗情景のなかでの身装を描いた作品である。風俗を描いた作品は、いわゆる風俗画だけではなく、たとえば宗教的主題をもつ作品にも、風俗描写はつねに紛れ込んでいる。このような広義の風俗関連画像資料をデータとして採録する場合、問題となるのは、これらの画像資料が、風俗記録的部分の不正確さを持っているということである。この問題点を解決するための基礎研究として、関連文献の収集・分析を行った。 また、検索項目それ自体の有効性を実証することを目的として、本検索項目にもとづく分析法と、インターネット上でのデジタル・ミュージアム等の画像データ主題分析方法との比較・検討を行った。さらにこれに並行して、関連文献の収集・分析を行った。
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