前年度においては、服装を中心とする「身装」画像検索のための、より実効的な方法のひとつとして、'情景の中の身装'検索のアイデアを提案した。 この提案の理由は、このような風俗領域資料の場合、それが置かれている環境と切り離して理解することは、むずかしくもあり、危険でもあるという点にある。その後、この考え方に添っての関連画像の内容分析作業の過程において、すでに発表した検索項目と、シソーラスにかわる概念コードについて修正をほどこし、検索項目を確定した。前回と大きく違った点は、検索項目のあらたな項目として、<特定主題>を設けたことである。この<特定主題>を設置したことによって、概念コードの数が400から200となり、データ分析・入力に費やされる労力が軽減された。 一方、「身装」と「情景」との関係をあらたな観点からとらえなおすことによって、「身装画像データベース」の構想の拡張性をこころみつつある。「身装」と「情景」のいずれかにかかわる画像データのすべては、つぎに示す3つの区分のどれかにはいる。 A)背景が無地の平面で、人物や衣服、アクセサリーそれ自体であるもの。 B)具体的な場所、背景と対象・人物が有意的な関係をもっているもの。 C)遠景、人物が不在の室内など。これらのデータは、より広範囲な風俗・民族資料として収集蓄積された情景画像である。 現在私は、従来の考え方とは逆に、「身装」画像を「情景」画像の一部分として取り込み、C)類の画像が有効利用できる、より包括的な、画像データベース形成の可能性を探りつつある。
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