研究概要 |
本年度では,次の二つのステップに分けて研究を行った. 「ワークフローに基づくマルチバージョンデータベースの一貫性」 ワークフローというグラフ形式で表される作業手順を,データベースが一貫するための統一的な判断基準と見なし,マルチバージョンデータベースの一貫性管理のための形式的な定義を与えた,すなわち,マルチバージョンデータベースまたはバージョン集合が一貫しているとは,ワークフローに従って行われる作業結果を記憶している場合に限る.それによって,データベースの一貫性は判定可能となり,従来のような直列可能性基準に基づく並行処理制御方式による管理方法から脱出できた. 「ワークフローに基づくマルチバージョンデータベースの並行処理制御」 一貫性情報を利用できれば,並行実行の一貫性の管理は,各々の処理単位の変更結果の一貫性と検索結果の一貫性として形式的に表現できる.変更結果の一貫性は,各々の変更操作を一貫性情報の活用によって能動的にワークフローに従う変更操作に変換することによって保証できる. 一方,ワークフローというグラフの形で表される一貫性情報に対して,検索結果の一貫性は,効率的な方法で判定できる.マルチバージョンデータベースにおいては,処理単位を後退復帰させることなく,検索結果の一貫性を保証できる.さらに,ワークフローで表される一貫性情報の利用は,最新のバージョンを利用したいというような協同作業の立場からの要求に対応するためにも役立つ. 以上の研究成果に基づくプロトタイプシステムも構築しており,検証とフィットバックを行っている.
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