<"Voice on Demand"システムの改良>先年に構築したシステムについて改良を行った。(1)録音メディア変換システム:本システムで作成した電子録音図書を様々なメディアで多方面で展開できないかどうかを検討した。MP3再生機能付きICレコーダーやパソコンからデータ転送が可能なMDであるNetMD、MP3再生専用機等での利用で、電子録音図書のデータフォーマットを変更すれば利用できることが判明した。よって、多種類のメディアで電子録音図書の利用が出来るようになった。(2)電子録音図書提供サーバ:サーバのOSを変更し、高速かつストリーミング配信時の負荷が出来るだけ少なくなるような構成に変更した。この変更により、端末10台の同時利用が可能となり、一時的には最大20台が利用できる構成となった。 <図書館蔵書管理システムとの連携>視覚部図書館で蔵書を管理しているシステムとの連携を図るべく、システム設計を行った。今回の実験では、利用者の端末での視覚障害補償条件に基づき、ユーザの利用するソフトウェアにあわせて電子録音図書を配信する方法について検討し、試用を行った。連携には、(1)蔵書管理システム側:電子録音図書の書誌データと所蔵データの入力。(2)電子録音図書提供サーバ側:録音分冊への対応として分冊メニューの作成と所蔵データとのリンク情報の入力。(3)利用者端末側:利用者の視覚障害補償情報と書誌・所蔵データおよび電子録音図書分冊データとの連携。の3項目についてシステム化を行い試行した。 <電子録音図書の携帯端末への無線配信実験>パソコン端末に依存しないシステムを目指し、無線配信を利用したMP3再生専用機の試行実験を企業の協力を得て行った。予約をパソコン上のインターネットのブラウザで行えば、無線配信機能により電子録音図書のデータを転送することが出来、視覚障害者にとって邪魔な配線などから開放され有益であるメディアである。MP3再生機では合成音声によるガイダンスで全盲でも利用できるようにし、国家試験合格を目指す学生を中心に試行した。再生時間が2時間と短い欠点はあるが、視覚障害者にとって非常に有益なシステムであることが確認された。
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