<"Voice on Demand"システム(録音図書のリアルタイム利用システム)> 本システムは、視覚障害者の重要なメディアの1つである録音図書が電子化ネットワークを通じて配信されれば視覚障害者の学習環境及び読書環境は劇的に変化するのではないかと言う発想の元に、電子録音図書をリアルタイムで利用する、システム化・利用者の研究・録音図書作成システムなどについて研究を行った。 (1)現状調査:録音図書の現状を、点字・公共図書館・点字出版書などで行い、電子化が進行中の現状を精査した。(2)電子録音図書の規格:録音図書を電子化するための様々な規格について検討し、現状ではMP3が有望であることが判明した。(3)録音図書作成システム:肉声データをデジタル化する様々な方法を検討したが、録音図書作成の中心的存在であるボランティアには技術的に簡易でないと受け入れられないため、非効率的な部分が多く残存する事態となった。(4)ネットワーク配信実験:MP3形式の電子録音図書のサーバと端末の配信実験を行い、リアルタイム同時利用に関する基本実験を行い、特にcacheサーバが非常に重要であることが指摘された。また、インターネットを利用した配信実験も行い、狭帯域でのデータ配信について多くの示唆を得た。(5)フィールド実験:それまでの研究成果を元に"Voice on Demand"簡易システムを構築し、フィールド実験を実施して、実際利用に向けた問題点について精査した。(6)携帯端末での無線配信実験:パソコン端末に依存しないシステムを目指し、無線配信を利用したMP3再生専用機の試行実験を企業の協力を得て行った。予約をパソコン上のインターネットのブラウザで行えば、無線配信機能により電子録音図書のデータを転送することが出来、視覚障害者にとって邪魔な配線などから開放され有益であるメディアである事が判明した。 以上の結果から電子録音図書のネットワーク配信についてはオンラインとオフラインの二方向で進めることにより、視覚障害者の学習環境を飛躍的に向上させ自学自習につながることが示唆された。
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