研究概要 |
金型は,地域に分散した中小企業が製造しており,受注戦略や生産効率の点から弱い立場にある。したがって,地域に分散している企業群の生産技術情報と生産管理情報を有機的に結合した地域金型企業体を形成し,企業群の相互情報に基づいた外注・受注方式を考え,加工・組立作業の相互補完を考慮した作業分散化による受注量増加と短納期化を目指す必要がある。本研究では,受注戦略を有利にし高いコストパフォーマンスが得られる生産管理運用技術および生産システム構築技術に関し、短納期と高機械稼働率を実現する最適な外注部品選択を行う外注システムの開発を行った。得られた主な結論は以下の通りである。 1)外注工場の利用を考える場合,スケジュール情報を利用した外注部品選択法は加工納期遅れ割合の減少に有効である。これに対し,仕掛り品の待ち時間などの情報を利用した外注部品選択法は,効果が無い。 2)納期遅れ割合と納期遅れ時間の減少に有効なスケジューリングのディスパッチングルールは,外注部品選択を行う場合のスケジューリングディスパッチングルールとしては,有効であるとは限らない。 3)外注部品選択を考える場合に使用するスケジューリングディスパッチングルールは,スケジューリング単独ではあまり効果が無いDDATE13(納期遅れを起こした部品に対し,納期遅れが小さい順に割当てる規則であり,特定の部品に納期遅れが集中するディスパッチングルール)が有効である。 4)適切な外注部品選択を考える場合,外注部品選択法やスケジューリング法の影響をそれぞれ単独で考えるよりも,それぞれの影響を考慮し両方法を組合せたルールとして最適化を図る必要がある。
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