研究概要 |
今年度は,ブロック生産方式について取り組むべき問題を明確にし,その問題の解析方法の見通しを立てることを目標に研究を進めた.具体的な成果は以下の通り. 1.工場見学 リコー御殿場工場のコピー機生産ラインと東芝青梅工場のパソコン組み立てラインを見学した.共にブロック生産方式の典型であるU字ラインによる生産を行っていて,少数の作業員からなる生産ラインを多数設置することで,需要の変化に柔軟に対応し,コピー機やパソコン特有の同一機種の生産が短期間で終了することによる段取りの手間を最小限に抑えることに成功していた.また,少数の作業員で製品を完成させることから,働き甲斐を持つことができる反面,この種のラインの導入には,多能工の育成が障害になることが確認できた. 2.ブロック生産方式のモデル化 システムのモデル化もほぼ完成することができた.(1)各生産ライン内には中間バッファをもたない,(2)各工程の加工時間は作業員の能力によって若干異なるが,同一作業員による同一工程の加工時間はほぼ一定である,などと仮定するのが妥当であると考えられる.また,各作業員の担当は,一時的な遅れを吸収するために,ある程度フレキシブルにする必要がある. 3.最適化問題の定式化 最適化問題の検討も進んでいる.工場見学によって,生産計画を立てた後は,各生産ラインあたりのスループットと各作業員あたりのスループットの向上が目標となることが観察されたので,倉庫入力型ラインにおいて,ブロック(作業員)数,各ブロックの(各作業員が担当する)機械の構成などを決定変数として選び、スループットと機械の稼働率のトレード・オフを扱う問題が妥当であると考えている. 4.解析方法の研究 2のモデル化において(2)を仮定すると,従来の待ち行列モデルの解析手法では問題の解析が難しいと考えられる.これに対して,我々は最近提案されたサンプルパス最適化の研究を進め,この方法が幅広いモデルに対して有効であることを明らかにした.なお,この研究の成果は,まもなく発表される.
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