研究概要 |
1.チューリッヒ(スイス),マンハイム(ドイツ)の市内交通の状態について,研究者から専門知識の提供を受けた.該市内においては,LRTが日常の市民の交通機関として活用されており,通行状態,他の交通機関との接続状態,運賃制度等に関しての工夫の具体的な様子を入手した. 2.西欧100都市におけるLRT,路面電車の活用状況を統計データにより分析した.人口30〜60万人の都市に活用例が多く,乗客数は通行系統数と正の相関があること,運営費の公的補助が一般的であることが判明した. 3.路面電車ネットワークについて,その路線配置と運行間隔を考慮した「インフラ係数」と,集客能力を表す「集客係数」を定義し,日本の路面電車ネットワーク(廃止済み路線,及び現存する路線)の実績について網羅的に比較をおこなった.この結果,ネットワークの「インフラ係数」に対応して,「集客係数」には「基礎的な集客能力」と見なせる下限が存在することが判明した. 4.日本各地の路面電車ネットワークについて,その運行状況,利用状況等を観察した.「基礎的な集客能力」で予測される数値を遙かに超える利用者数実績をあげているケースでは,移動の連続性/運賃の連続性(運行の安定性,乗換えの容易性,乗換え時の運賃制度等)を良好にするためのソフトウエア的工夫が利用を促進しているものと考えられる. 5.路面において他種の交通機関と混在/共存する場合,安全性の面からの問題点を把握するために,研究者から専門知識(踏切事故/自転車事故の実情,その他)の提供を受けた.
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