研究概要 |
主として以下の課題(a)および(b)に関して研究を行った. (a)逐次半正定値計画緩和の並列計算アルゴリズムを実装し,その数値計算実験を大規模に行った. テスト問題としては,応用上重要な0-1整数2次最適化問題,線形不等式条件付き2次最適化問題,2段階2次最適化問題,2次分数和最適化問題等を乱数を用いて生成した.計算機環境としては,東京工業大学松岡研究室のPC-クラスタを用いた.その結果,計算時間においては最大128台のCPUを並列に稼働し,約100倍の高速化を実現した.問題の規模も従来の単一CPUによる計算アルゴリズムでは解き得なかった大規模な問題を扱うことが出来た.さらに,ほとんどの問題において精度の高い近似最適値が得られた. これにより,2年間の研究で設定した研究成果が得られたと言って良い. (b)より大規模な問題に計算効率よく逐次半正定値緩和を適用するために,半正定値計画問題に対する計算手法をそのものを高速化する研究を行い予備実験を行った.特に,主双対内点法にconjugate gradient法の組みの研究を行った.この工夫は,低精度の近似最適値が求められれば十分である大規模な(従来解けていたサイズの20倍程度)最大クリーク問題,最大安定集合問題等の組合せ最適化問題の最適値の見積もりに極めて有効に働くことを検証した.また,半正定値補完の理論に基づく主双対内点法を提案し,計算機に実装し,予備的な計算実験を行った.その結果,行列近似問題,平面グラフ上の最大カット問題,0-1整数2次最適化問題等の特殊な疎なデータ構造持つ大規模問題に対しては,提案した方法が極めて有効に働くことを検証した.
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