包絡分析法(DEA)における非芯的効率性指標を用いてsuper-efficiencyを計測する方法を開発した。通常のDEAでは効率値が1と判定されたものが最良のものと判定されるが、この方法によれば、1以上の値も許容されることになり、その大きさによってsuper-efficiencyの度合いを評価することができる。従来用いられてきたAndersen and Petersen法との違いや優位点についても論じた。 次に、DEAを画一的に用いることの弊害について考察し、それぞれのDMUの置かれている環境状況を考して、効率値を測るべきであるという見地からadjusted projection法を提案した。画一的なグローバリゼーションへの一つの対処法を示したものである。この方法は非芯的な領域限定法とも併用することができる。 DEAを現実の問題解決に適用した例として次の2つの事例を行った。一つは、首都機能移転計画の候補地の評価である。10の候補地を総合的に評価するために、AHPとDEAを併用したが、特に、DEAの領域限定法を用いて、各地の優位と劣位を計測し、最終的な候補地選定に至った。次に、NTTの電話料金自由化のため上限価格を決める方法を開発した。NTTのコスト非効率をDEAのコストモデルを用いて計測し、非効率を除去することによる料金低減額を具体的に提案した。いずれも広義の非芯的効率性指標の適用例である。
|