プロジェクトマネジメントに関する学理的研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11680451
• 研究機関: 千葉工業大学
• 研究代表者: 梅田 富雄 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (00213489)
• 研究分担者: 関 哲朗 千葉工業大学, 社会システム科学部, 助教授 (60236073) ; 小原 重信 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (00233601)
• キーワード: 研究方法論 / コンテキスト / 使命達成型の発想 / P2M / ソフト製造管理技術 / 日本的品質管理 / プロジェクトマネジメント

研究概要

本研究では、研究者が担当する当該領域が異なること、また新たな展開の必要性および対象分野の違い(建設系、ソフト系など)から、研究者独自の研究を行い、本年度の研究成果を下記のように各研究者の概要を報告する。
1)プロジェクトマネジメントの学理的研究には、研究領域、研究対象、研究の方法論、フレームワークなどを明らかにする目的で、工学、社会学、経営学などの研究の方法論に関する特徴を中心に調査研究した。プロジェクトマネジメント研究のパラダイム、コンテキストなどの設定は今後に待つとして、関連する私見をまとめた。特に、プロジェクトマネジメントについて工学に関連する研究を行うに当たって、従来あまり指摘されてこなかったコンテキスト設定の必要性を明らかにた。プロジェクトの遂行状況をいかにリアルに捉えるかについてケース研究の重要性とともに、その素材作成には厚い記述(Thick Description)が必要なことを指摘した。
2)プロジェクト組織が直面する複雑系問題を解決するための学理の構築について研究してきた。結論として得られた原理は、従来の目的設定型から使命設定型に原点を移し、そのスキームから出発してシステムの構築を経て、その利用から派生する知識資産を資源としてプロジェクトを創造する循環結合を確立する新たな発想である。全体像を可視化するファイリング、ビジネスモデリング、代替案選択のリアルオプション理論、チーム結集のプラットフォーム、多元的評価のバランススコアカードなど理論を組み込み、P2M (Project ＆ Program Management for Enterprize Innovation)の基盤原則や統合マネジメントに導入した。
3)ソフトウエア開発分野におけるプロジェクトマネジメントの学理体系は、ソフトウエアエンジニアリングを基礎としたソフトウエア作成に関する議論と,それを円滑力かつ計画的に実施するためのマネジメント方法に関する議論の両者から成り立つ。本年度は、ソフトウエア作成のマネジメントに関わる問題点にういてその解決の端緒を得るための議論を行った。各論的な議論に合わせて、比較的小規模な事業体の多いソフトウエア産業の構造に注目し、従来から利用されている製造管理技術として採用され、日本の企業文化に深く浸透している日本にて品質管理を基盤とした、プロジェクトマネジメントの導入方法について議論をすすめ、簡易的な方法によるプロジェクトマネジメント導入の可能性について一定の所見を得た。

研究成果

• [文献書誌] 進藤, 越島, 梅田: "プロジェクト遂行における戦略基盤"プロジェクトマネジメント学会秋季研究発表大会予稿集. 78-83 (2001)
• [文献書誌] I.Koshujima, T.Umeda: "Human Resource Allocation in Project Management"5th ABAS International Conference, Brussel, Belgium. 1-16 (2001)
• [文献書誌] 小原重信: "第三世代のプロジェクトマネジメントにおける基本構想と原則-使命達成と統合による価値活動"プロジェクトマネジメント学会秋季研究発表大会予稿集. 155-159 (2001)
• [文献書誌] 小原重信: "プロジェクトマネジメント知識体系を構成する基本概念と支配論理"プロジェクトマネジメント学会春季研究発表大会予稿集. 150-155 (2001)
• [文献書誌] 堀内, 石綿, 櫻井, 関: "品質管理に基礎をおいたプロジェクトマネジメント導入方法に関する考察"プロジェクトマネジメント学会春季研究発表大会予稿集. 75-77 (2001)
• [文献書誌] 堀内, 関: "経営管理パラダイムとしてのプロジェクトマネジメントの可能性"プロジェクトマネジメント学会誌. 3・5. 7-12 (2001)
• [文献書誌] 小原重信 編著: "P2Mプロジェクト&プムグラムマネジメント 標準ガイドブック"(財)エンジニアリング振興協会. 106 (2001)