本研究は、ロット化と平準化の両者を考慮した生産の計画をスケジューリングという観点から検討するもので、11年度は問題の明確化と概念的・論理的整理を行い、自動車工場の事例をもとに具体的な問題の検討と解法の構築・評価を進めてきた。 問題の明確化と概念的・論理的整理に関しては、生産現場においてロット化・平準化の融合(妥協)が生産の順序決定、すなわちスケジューリングにいかなる問題が投げかけるかを多角的に検討し、スケジューリングや生産計画の過去の研究との関連を明らかにした。また「品種」とは何かの捉え方を検討する必要が生じたため、その検討を行っている。 自動車工場の事例では、ロット化が要求される塗装工程と平準化が要求される組立工程から成る生産ラインを対象に、投入順序がラインの中で変わらない(つまり、ラインがバランスしていれば、在庫として滞留することがない)という前提の下で、最適な投入順序を決定する問題を取り上げた。これに対して、数理計画法(整数計画法)に基づく投入順序決定法を開発した。この方法では、まず、組立の「車種」平準化を達成する投入順序「パターン」を定め、このパターンにしたがう投入順序の中で塗装工程における色の切り替えを最小化する投入順序を整数計画で定式化して解くものである。計算実験によって提案する方法の性能を評価し、方法の実用性を検討した。 最後に、在庫に「順序調整機能」を持たせることを想定した投入順序計画の検討にも着手した。
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