[1]在庫に「順序調整機能」を持たせることを想定した投入順序計画 生産在庫管理に関する過去の研究では在庫の緩衝機能を扱っている研究が数多くあるが、それらの圧倒的多くは作業時間や需要の変動に対処するための緩衝機能を扱っている。具体的には、作業時間のバラツキを吸収するためのバッファの役割や、品切れやブロッキングを回避するための適正バッファ容量に関する研究が多く、それらの研究では多品種性が陽に意識されていない。 近年の多品種生産では、複数の品種がバラバラと混在して流れるので、在庫に「同じ品種がある程度まとまるのを待つ」という役割を持たせることができる。これは生産の順序という視点から見れば、多品種生産環境下における、在庫の「順序調整機能(あるいは順序変更機能)」とみることができる。実際の生産現場で、このようなバッファの使い方をする場合も少なくないと想像され、以下の観点から分析を行った。 1)具体的な投入順序決定方法を考える 2)バッファの大きさ・形態と順序調整機能との関係を調べる [2]多品種・複数機械環境におけるロットスケジューリングの離散時間モデルの研究 ロットスケジューリング問題は、ロット化の生産を行う場合の基本的問題であり、同一設備上で複数品種を作らなければなければならない最近の生産環境ではきわめて重要である。2000年度の研究では、従来研究がほとんど行われていない複数機械環境におけるロットスケジューリング問題を取り上げ、離散時間モデルによって定式化し、列生成法やラグランジュ緩和法に基づく解法を構築した。また、計算実験による解法の評価を行っている。
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