本研究では、ISO14000_sにおける環境マネジメントシステム(EMS)に基づく環境負荷低減を考慮した製品開発管理システムの設計法を提案するために製品開発過程における意思決定機能と情報機能について分析するためのモデルと手法を提案し、その有効性について平成11年度は以下の事項を明らかにした。 (1)ユーザーニーズの構造モデルとして製品特性とサービス特性を基本とし、この2つの特性の価値をより高める価値特性の概念を提案し、これら3つの特性からなる顧客総合満足度を基本とするユーザーニーズ調査・解析法を開発し、大学食堂の事例でその有効性を検証した。 (2)ユーザーニーズの重要度に基づき製品仕様を決定するための方法を製品特性展開と多属性効用関数を前提とするコンジョイント分析法を組み合わせて提案し、ノート型パソコンの事例でその有効性を検証した。これにより、ユーザーニーズの中でも潜在ニーズと呼ばれるニーズを調査するための有効な調査法としての仮想カタログの作成可能性を確認できた。 (3)ユーザニーズの時間的変化を調査・分析するためのモデルと手法を提案し、テレビの事例によりその有効性を検証した。 (4)製品戦略と製品開発過程の関係を分析するためのモデルを構築し日本とフィンランドの製品開発事例の比較研究からニーズプル型の成功要因の高い共通性が見出された。これより、環境負荷低減とユーザーニーズの融合基盤の確証が得られた。 (5)環境負荷低減とユーザーニーズを満たす製品開発管理システムの開発を進めるための基本モデルと環境負荷特性の展開過程を組み込んだモデルと分析法を提案し、食品包装材料の開発事例に適用し、その有効性を確認できた。
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