認知型ヒューマンエラーは、ある一定の条件が整うと、きわめて再現性よく発生する。本研究では、人間のエラーの発生過程を示す認知行動モデルを作成し、さらにそのモデルの妥当性を実験により実証することを目的としている。平成11年までに、ヒューマンエラー事例の収集と分析を行った結果、熟練度とエラーとの関係が見られた。平成12年度は、熟達過程と認知行動との関係を検討する実験を行ない、経験と認知エラーの発生状況について検討し、経験と状況把握との間に密接な関係があることを把握した。この結果をもとに、平成13年度は、状況とエラーの関係の説明のための認知行動モデルとして、M.R.EndsleyのいうSituatlon Awareness(状況認知)モデルをベースにしたエラー表現モデルを考察した。さらに、認知型ヒューマンエラー以外のエラーについても、経験との関係で考察し、ヒューマンエラーの再現状況を抽象整理することにより、ヒューマンエラー防止のためのシステム設計原則を取りまとめた。
|