研究の準備段階として、離散型のハブスポークモデルの厳密解法を考案し、その有効性と限界を確認した。離散的なモデルで厳密解法を用いると、工夫をこらしても、50個の空港の中から、2から4個のハブ空港を選ぶ問題でも最大20分程度の計算時間がかかる。これ以上大きな規模の問題、例えば、地球規模の問題を解こうとすると、組合せ爆発を起こし、到底解を求めることはできないであろう。 一方で、球面上のボロノイ図を用いた施設配置モデルの一例として球面上の競争立地問題を定式化し、非線形計画法の手法を用いて、安定状態を求めた。この結果は、球面上の種々の問題に対しての道具としての球面ボロノイ図の有効性を示している。今後、球面上の未解決の数学的問題、また、ハブスポークモデルへの適用の可能性を示すことができた。 成果の一部は、本年6月にポルトガルで開催されたISOLDE VIII、8月に中国で開催されたIFORSの2回の国際学会で発表した。さらに、それを受けて、本報告書11にあげた2つの論文に成果をまとめた。 さらに来年度は、球面ボロノイ図を用いた施設配置問題、幾何学的問題を定式化して解き、ボロノイ図の施設配置問題への適用の有効性を示す。同時に、球面上のハブスポークモデルを作成し、解法を考案する予定である。さらに、世界の空港の利用者数、航空会社の乗り入れ便数などを調査し、実用モデルの作成を行う。
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