本年度は、4年計画の研究の初年度として研究の立ち上げを行った。特に、従来行っているファジィポートフォリオ理論の研究を基礎として、ボルツマンマシーンによるポート・フォリオ選択問題の解法に力点を置いた。その結果次の成果を得た。 1) ボルツマンマシーンによる解法を提案した。(昨年度実施済み)この成果を基にボルツマンマシーンとホップフィールドマシーンを階層構造に結合することによって有機的に動的にニューラルネットワークを稼動させることに成功した。この成果をすでに国際学会で公表した。すなわち、上位階層のホップフィールドによって多数の証券から投資すべき銘柄を選択する限定数の選択問題を解いている。但し、従来ホップフィールドマシーンが局所解に陥る欠点があった。このため下位階層のボルツマンマシーンから小さな揺らぎを送ることでアニーリングを行うことに成功した。また、上位階層の選択証券のノードの情報を下位階層に送ることで、限定証券に対する投資比率を求めることに成功した。 2)現在、これらの手法を証券問題のみでなく、農業問題の作付け面積の決定や、生産問題の解の問題を取り扱った。すなわち、農業問題では作付け面積は従来期待収益最大化戦略で決定する手法に力点が置かれていた。ここでは、農作物の価格の時系列データを基に期待収益だけでなくその収益を得るときのリスクをも考慮した意思決定を可能とした。同様の問題で、生産問題に関してプロダクションポートフォリオマネージメントにこの方法を適用した。 3)こららの成果を、台北でのIFSA99、ソウルでのFUZZ-IEEE99およびチェッコでのチェッコ日本シンポジウムで発表した。 4)来年度からの問題として、前期投資比率を考慮した問題の解法を階層構造のニューラルネットワークを用いる方法を模索したい。 (1)前期の投資パターンから大きく乖離した投資は証券市場に大きな影響を与える。まだ投資額が巨額になると手数料の影響も大きいであろう。このためここでは前期投資パターンと変動の少ない投資を強調すべきであろう。 (2)投資手数料の問題を解くためには証券の短期予測の問題を扱う。次にこの問題を扱う。
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