研究概要 |
H.Markowitzが提案したポートフォリオ・セレクションは証券への分散投資手法の原点であり,各証券への投資比率を求める数理的手法である。しかし、全証券数が膨大になるとその中から一定数の証券を実用的に十分効率的に選択することが困難である。この問題を解決する方法として,われわれが研究しているニューラルネットワークを導入し・改良したモデルを構築することが研究の目的である。 本助成研究で次の研究成果が得られた。 1)ボルツマンマシーンとホップフィールドマシーンを階層構造に結合することで有機的動的にニューラルネットワークを稼動させることに成功した。この成果を国際学会や国際学会誌で公表した。 2)前期投資比率を考慮した問題を解くために、階層構造のニューラルネットワークを用いる方法を開発した。ホップフィールドネットワークで構成されるメタ制御階層を組み込むことで多数の証券の中から適当な数の証券に絞り込み、下階層ボルツマンマシーンで前期投資パターンと今期投資パターンの差を最小にする解を効率的に得ることに成功した。これらの成果を国内・国際学会で公表した。 3)研究代表者が既に確立しているファジィカオス短期予測手法と組合せることで次の期の証券の価格を予測し、予測した証券価格で証券の取引単位に基づく分散投資を確立した。これらの成果を国際会議で公表した。 4)端数処理のために現実の証券価格の予測をカオス短期予測に反映させ、証券取引単位を考慮した解をメタ制御型ボルツマンマシーンを組み合わせることで方法を改善した。 5)これらの手法は、証券以外の問題にも有効であり、作付け面積の決定や生産数の決定問題さらにプロジェクトの評価や管理に応用した。これらの成果を、国際会議で公表した。
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