第1に、昨年度実施した自治体アンケート結果を解析し、「地域防災計画の改訂」と「都市計画マスタープランの策定」の実態把握を進めた。特に、(1)防災部局の組織構成・予算規模に大きな格差が存在すること、(2)計画過程への住民参加や計画案の公表にも温度差があること、(3)必ずしも防災政策と都市計画の間の整合性がとれていないこと、(4)しかし自治体職員も活断層上の土地利用規制に対して一定の支持があること、(5)その支持率は都市計画職員の方が一般に低いが、情報獲得を通じてその支持率が高まること、などが確認された。以上の成果は、国際学会(International Geograpfical Congress 2000)で報告し、さらに日本地理学会春季大会(2001.3)でも報告予定である。さらに、活断層上の土地利用規制に対する防災・都市計画職員の意向の分析結果は、雑誌・季刊地理学(東北地理学会)に投稿し第53号(2001)に掲載予定である。今後は、両政策プロセスの相互関連性の分析を中心に検討を深化させていきたい。 第2に、アンケートへの自由回答等も参考に、特徴的な防災対策が展開されている松本・横須賀・小田原3市における現地調査を行い、地域防災計画、都市計画マスタープラン等の資料収集と、両政策プロセスの諸アクター(行政・市民・マスメディア等)に対するヒヤリングを実施した。あわせて来年度の海外調査に関する資料収集(米国活断層法他)も現在進行中である。
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