研究概要 |
本研究では、「防災型土地利用規制の導入に関する政策プロセス」の検証を行うため、以下の3項目について研究を進めた。 1.阪神大震災後の地域防災計画の改定にみる防災型土地利用規制の導入状況の把握 平成11年度に、日本国内における防災型土地利用規制の導入実態を把握するために、全国694の全市及び東京都特別区の防災部局・都市計画部局に対してアンケート調査を実施した。災害関連情報の公開に積極的な自治体は少ないこと、地域防災計画と都市計画の連携が不十分であること、都市計画・防災部局の組織的特性(人員構成やリーダシップ等)が重要な役割を果たしていること等を確認し、地域防災計画と土地利用計画・都市計画マスタープランの全国的動向を明らかにした。 2.防災型土地利用規制を視野に入れたまちづくりの国内先進事例の把握 ハザードマップ公表や住民ワークショップ開催等で積極的なまちづくりに取り組んでいる自治体として、松本・横須賀・西宮市の現地調査を平成12年度に実施した。それぞれ、市街地修復型の防災都市計画を積極的に策定・推進している事例、活断層位置に配慮した地区計画による施設配置・壁面後退を実施している事例、独自条例による建築確認・開発審査時の指導を強力に行っている事例と考えられる。 3.カリフォルニア州活断層法を中心とする国外事例の把握 カリフォルニア州Alquisto-Priolo Earthquake Fault Zoning Act、Seismic Hazard Mapping Programの現地調査を平成13年度に実施し、州地質調査所・知事オフィス、FEMA、サンフランシスコ市・サンノゼ市・サンタクララ郡等の自治体、ベィエリア政府間協議会(ABAG)等の聞取調査と資料収集を行い、上記対策法の成立過程と自治体における運用実態を把握した。特に、地質学専門職能の確立、政策過程における事後評価の導入,アウトリーチ活動等の面に顕著な特徴がみられた。
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