研究概要 |
本年度は,気相晶出作用を受けた火砕流凝灰岩と非溶結火砕流凝灰岩を対象として,次の研究を行った. 1)気相晶出作用を受けた火砕流凝灰岩の風化帯の特徴の解明 1998年の福島県南部豪雨災害によって崩壊の多発した白河火砕流の風化帯調査を行い,次のことを明らかにした. ・白河火砕流の多くは気相晶出作用を受けて,軟岩となっている. ・その風化帯は,下位から,水和して化学成分がやや溶脱された水和帯,化学成分の溶脱と共に著しく劣化して板状に分離した剥離帯,もとの岩石の構造を失った分解帯にわけられる. ・これらはいずれも明瞭なフロントを持つ.特に剥離帯の下底で大きな物性の変化がある. ・剥離帯下部にすべり面を持つ崩壊が多発した ・崩壊発生の原因は,剥離帶での強度低下,流れ盤をなす剥離構造の存在,その下の水和帯が難透水であったことに求められる. ・ここで明らかになった風化メカニズムと風化帯の特徴は,気相晶出作用を受けた火砕流凝灰岩に一般的であると推定されることから,ここで明らかになったのと同様の崩壊発生メカニズムが気相晶出作用を受けた火砕流凝灰岩分布域に広くあてはまると推定される. 2)非溶結火砕流凝灰岩の風化帯内降雨浸透挙動の解明 鹿児島県に分布する代表的非溶結火砕流凝灰岩であるシラスを例として,平成13年度に明らかにした風化帯構造に基づいて,テンシオメーターを用いた地中浸透水の挙動観測を行った.その結果,次のことが明らかになった. ・降雨の地中浸透は,風化帯の構造に大きく支配される. ・風化フロントでは,毛管障害効果が発揮され,そこで一時的な貯留が起こる. ・シラスの風化帯の崩壊は,毛管障害効果によるシラスの自重増加とサクションの消失による強度低下の結果起こると推定される.
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