研究概要 |
本研究では、大気が土壌空隙を通して火山ガスに混入していることを問題提起し(mixed air)、さらにその混入の物理機構を観測や実験などによって明らかにすることを目的としている.本年度は、まず、研究の基礎となる〔1〕ガス試料採取法の再検討、及び〔2〕既存資料の収集を行った. 〔1〕多くの火山ガス研究者から、本研究で用いているガス採取法では試料採取時における空気汚染が無視できないとの指摘を受けた.そこで、空気汚染の証拠となる酸素を分析するシステムを新たに構築し、採取容器の準備から始まりガス試料の化学分析へと連なる作業における空気汚染の規模をチェックした.その結果、一連の作業で試料ガスに混入する空気(contaminated air)は高だか1%程度であることが確認され、少なくとも私たちの方法で採取される火山ガス試料に占める空気成分は、contaminated airではなくmixed airであることが明確となった.現在、本研究で用いているガス採取法の詳細を公表すべく、論文投稿の準備を行っている. 〔2〕物理学の既存資料から、「層流状態にある流体は、その流路に物体が存在するとそれに沿うように流れるが、流速が大きいと流れが物体から剥がれてその後方に局所的な減圧状態が発生する」ことが分かった.また,状況次第ではその減圧を解消するために外部から別の流体が進入することがあるらしい.実際の火山ガスの通路は、積み重なった礫の空隙であると考えられるので、上述のような物理機構が生じている可能性が高く、現在、火山ガスの流れへの空気の流入に関する可視化実験を計画中である.
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