研究概要 |
1.低気圧内気圧分布を楕円形分布式で近似した場合に、低気圧特性を中心位置、中心気圧、卓越高気圧、楕円長軸傾斜角、楕円長径および短径で代表させる確率的低気圧モデルは、現実の低気圧経路の特性や低気圧属性の平均値および標準偏差の領域特性をよく再現する。 2.確率的低気圧モデルと楕円型気圧分布および傾度風モデルを組み合わせたシミュレーション資料に基づく気圧および海上風の極値はECMWF(中期気象予報ヨーロッパセンター)気圧・風資料あるいは天気図気圧資料といった既往資料に基づく結果とほぼ同程度の値を与える。 3.確率的低気圧モデル,海上風推算モデル,高地形解像度1点浅海波浪推算モデルおよび極値統計解析モデルよりなる「確率的低気圧モデルに基づく波高の極値推算システム」に基づいて推定した日本海沿岸および太平洋岸地点の確率波高は観測資料に基づく結果と比較的対応する。また、波浪推算に格子点深海モデルを用いるシステムに基づいて推定した波高は、外海に直接面し、遮蔽効果をあまり受けない地点では、1点浅海モデルに基づく確率波高とある程度符合する。 4.波浪推算に格子点深海モデルを用いるシステムに基づいて推定した北西太平洋海域における確率波高は、やや小さいと考えられるので対象海域における確率低気圧モデルに改良を加える必要がある。 5.確率的低気圧モデルに基づく本システムは北西太平洋における再現期間50年の確率気圧および確率風速の平面分布や、日本海側および太平洋側沿岸代表地点における確率波高および日本海および北西太平洋における確率波高の平面分布に関して、既往資料に基づく結果と同程度の値を与える。また、超長期の再現期間に対して得られる再現期待値の標準偏差も小さい。したがって、本システムは超長期の再現期間に対する確率気圧や確率風速のみならず確率波高の推定に有用と判断される。
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