政治的にも経済的にも社会的にも我が国の中心部である東京湾岸域を対象に総合的な地震危険度予測を行う際の指標として、地域活動力(Area Vitality)の概念を提案した。この指標は、社会活動力(Social Vitality)と経済活動力(Economic Vitality)の二つの指標を総合評価したものである。この指標を用いた評価により、東京湾岸域のような広域において、地域特性を反映させつつ総合的に地震危険度評価を行おうとするものである。また、この概念を用い地理情報システム上にシステムを構築することにより、地震発生時における発災直後・避難期、救援・応急復旧期、復興期にわたる意志決定の支援にも活用できるものである。 そこで、当該年度においては、先ずその指標の柱の一つである「経済活動力」について、その評価概念、及び評価手法について提案し、兵庫県南部地震の際の兵庫県激震域における事例研究を行い、その評価の妥当性の検証を行った。これは、通常時の経済活動力が、震災時にどの程度低下するかにより、その支障度を評価するものであり、これにより経済活動力評価による地震危険度予測の方法を示した。次に、国内的にも、国際的にも社会経済的な重要拠点であり、かつそれぞれの地域が相互に強く依存しあい、1つの圏域を構成している東京湾岸域を対象に、この経済活動評価手法を用いた評価を行った。これにより、震災により地域社会が被る支障度を、経済活動力という指標による通常時保有能力との比較により定量的に評価することが可能であることを示した。
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