兵庫県南部地震の教訓として、木造家屋の耐震性や都市直下地震の強震動などが挙げられるが、人的被害を大きくした原因として、同時多発した家屋倒壊の把握に時間がかかりすぎたことがあげられる。本研究は、ほとんどの家庭にはりめぐらされている電話線をセンサとして活用して、住宅倒壊検知が可能なシステムを考案することである。電話会社では電話線ネットワークを監視するためのシステムをつくっており、各家庭までの回線が正常な状態かどうかは短時間に測定できる。住宅倒壊が多発した場合には、回線状態が異常な地区として測定される。この情報を地震後の緊急対策に活用できれば、ヘリコプターの活用や、車による巡回に加えて貴重な情報になる。電話線引き込み部.の破断実験を行ったところ、住宅との接合部分は約30cmの強制変位で断線することが明らかになった。電話会社で測定する断線情報はおよそ1/10の住宅の傾きに相当すると考えられる。 また本研究では、災害情報の流通に関して、電話会社の情報を、自治体、警察、消防、さらに報道機関などで共有するルールとシステムについても分析を行った。現在、内閣府では電力、ガスの被害情報をとりこんだ災害情報システムを検討中であるが、被害情報の一元管理と情報の活用は必須であり、被害情報の収集、情報伝達、分析、情報配信の各段階において、強固なネットワークづくりが要望される。被害情報の収集の段階においてはライフライン企業の所有する災害情報が役立つものと考える。
|