研究概要 |
火山噴火により火砕物が降下堆積した後,何らかの作用で厚さが変化することが知られている.このため,古記録に記載された層厚が記録自体の不確かさなのか,あるいは圧密作用など,事後の変化によるものかを判定するための方法を考究した. 1783年(天明3年)の浅間火山の噴火では,古文書に記載された降下軽石層の厚さは,現在の実測値に比べて平均して1.7倍大きすぎる.噴火後一定の期間経過した後で再測定した例はきわめて少なく,今回の調査でも未だ新しい資料は発見されていない. 一方,軽石質降下物の圧密作用の特性を実験するために圧縮試験機の改良をすすめている.予察的結果では,緩い充填のごく初期に顕著な体積減少が起きるが,その後はあまり圧密されないと言う特性を示す. 1707年の冨士火山の降下スコリア堆積物および1929年の北海道駒ヶ岳火山の降下軽石層についても予察的調査を行った.両者とも,最上部によいマーカーとなる層がないため,侵食による層圧現象の可能性を見分けることが困難であることが明らかになった.
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