東京南西部-横浜地域の1/1万地形図相当地域、4図幅(自由が丘、武蔵小杉、鶴見、新横浜)を対象とした災害予測図(ハザードマップ)を試作した。その結果、比較的大規模な谷埋め盛土に限定しても、不安定化素因を有する造成地が、大都市の内部に数多く存在することが明らかになった。これらに対するより詳細な調査が、早急に必要である。今回試作した災害予測図の具体的な作成手順は以下の通りである。 1.数時期の地形図をDEM化し、その差分を計算して大規模な盛土地域をGIS上で抽出する。 2.阪神淡路大震災や宮城県沖地震等の被災例を元に、災害の発生と無発生を分けた要因を分析する。 3.それらの要因の統計的特徴をもとに数量化II類(判別分析)による分析を行い、判別式を作成する。 4.判別式の評価を行い、修正する。 5.完成した判別式を未知の地域に適用し、変動確率を計算する。 6.変動確率をもとに、ランクを設定し、災害予測図(ハザードマップ)に表現する。 今後は、誤りの訂正や図的表現の統一と適正化、カテゴリー区分等についてチェックを行う予定である。また、地形図の精度による制約から、抽出し評価できた谷埋め盛土は、比較的大規模なものに限られている。人工構造物の影響も考慮されていない。したがって今後は、より大縮尺の地形図を使用し、比較的小規模な盛土や人工構造物の分布を調査し、斜面災害予測図を改訂してゆくことが必要である。また、今回は対象を限定し、都市内部型の斜面災害、特に宅地の盛土の変動予測を目的とした。今後は、予測の対象とする斜面変動の範囲を拡大し、都市内部の急斜面における崩壊や都市外縁型の斜面災害に対する災害予測図を整備してゆく必要がある。
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