プラズマ粒子間のクーロン相互作用エネルギー/熱運動エネルギーが1を越える強結合プラズマはクーロン多体相互作用が重要な役割を果すために固体への相転移の存在など通常のデバイプラズマにはない様々な現象を包含する。本研究は新しい方法によってこの相転移近傍の強結合プラズマの物性を開拓するもので平成11年度の研究は次のように要約される。 平行平板電極の下部電極にくぼみをつけ、このなかに低誘電率の絶縁油を入れ、帯電した微粒子が重力と電極に印可された電圧による電場、浮力、液面での表面張力などによって安定に閉じ込められる配位を考案し実験を行った。微粒子には10ミクロン程度の粒径のそろったシリカなどを用い、数百ボルトの電位を電極にかけることによって微粒子の帯電量が制御されることを確かめた。微粒子は電極間の電場によって浮上し、絶縁油表面で表面張力と重力と電場による平衡によって数十時間以上に及ぶ安定した2次元強結合プラズマの閉じ込めのに成功した。微粒子の絶縁油中でのこれら強結合プラズマの配位の時間的な振る舞い、とくに結晶化への配位成長を、装置を金属顕微鏡下において長時間観測をおこなった。液面の微粒子の画像データを処理し、2体分布関数を求め、微粒子の序秩序構造が液面表面に浮上後十秒から得られていることが明らかになり、さらに数時間後に三角格子のクーロン結晶化が観測された。これらの結晶は閉じ込め電位を制御することによってその粒子間距離を広範囲に変えられることが明らかにされクーロン結晶の格子ひずみなどの圧縮、成長などの研究が可能であることが示された。またこれらの2次元結晶密度は径方向に変化しており、2次元に閉じ込められた強結合プラズマの計算機シミュレーションと非常よい対応を示すことが明らかになり、これまでプラズマ中のダスト実験などでは得られなかった精度の良いクーロン結晶の解析が出来ることが明らかにされた。
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