2年間にわたる美濃「MINO」シリーズの研究の結果MINO-2号の完成に至り、以下の成果を得た。 1)ペレット磁気懸架ユニットMINO-2号開発 ・ペレットの導入部(ガスパフ装置)、位置検出部、制御部、懸架部をそれぞれ4つのコンパクトなユニットとして開発した。テスト運転を行い、大阪大学レーザー核融合研究センターの激光XII号用直接照射型ペレット、のみならず米国で建設中のNIF用間接照射型ペレットにも適用できることを示した。 ・ペレットに半導体レーザーを照射して働く光作用力を解析し、その光作用力によるペレットの水平方向振動のダンピングでに適用できることを実験的に示した。 2)MINO-2号用のペレット製作に関する研究 ・真空蒸着によるAl-Ni薄膜コートによって、高反射ペレットを製作した。 ・流体力学的不安定性抑制のために薄膜磁性材料の最適化と密度または原子番号Z変化を持たせる薄膜製作技術としてパルスレーザー蒸着法にメッシュを組み合わせた方法を考案した。メッシュサイズおよびメッシュに印加する電圧パルスに対するドロップレットの減少効果を実験的に示した。 ・流体力学的不安定性抑制とプリヒート抑制のためのペレット内部へのNiコーティングには、化学的手法が適しているとの見通しのもとに、無電解メッキ法での成膜の基礎実験を行い、良好な磁性のNi薄膜を得た。 ・ペレットにコートされているNi薄膜の膜厚を測定するため、波長走査形光学顕微干渉法を考案し装置を製作した。Ni薄膜を放電加工で除去して得た基準面の境界における、最小自乗法によるニュートンリングの解析から高精度な膜厚測定を行った。 ・オイルバス中にNi薄膜をコートしたペレットを入れて浮力と磁気力を作用させ、ペレットの運動からNi薄膜の比磁化率を測定する方法を考案し理論的に合致する精度の良い結果を得た。 ・クライオターゲットへの対応として、有機磁性体の考察および超電導浮遊の基礎実験を行った。 3)その他関連する研究として、ペレットの電界懸架の高精度化、電界を用いたペレットの打上、ペレットの電界カーテンによる搬送、ペレットのレーザー光によるアライメントの基礎研究、を実施した。
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