本年度は、実験用のモジュールを試作し、熱負荷特性に関して、実験を行った。下記に概要を述べる。 東洋炭素(株)製の等方性黒鉛IG-430U及びフェルト状C/CコンポジットCX-2002U(CFC)(20mmx20mmx10mm)の表面に、プラズマ溶射法(VPS法)によりタングステンを0.5mm及び1.0mmコーティングした試料を、冷却管付きの無酸素銅にチタン箔及び銀ロウを用いて冶金的に接合した。このモジュールに対して強制冷却下における電子ビーム熱負荷実験を行った。ビーム照射中、試料の表面温度、接合界面上部及び下部の温度をそれぞれ放射温度計及び熱電対を用いて測定した。また、照射後の接合体の形状変化を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。 銀ロウ接合のタングステンをコーティングした試料では、表面温度は、未コーティング材と比較して数10℃度程度温度が高い。これは、コーティングされたタングステンの厚みの分、温度が高くなっているものと考えられ、材料的には、欠陥はないものと考えれれる。炭素材が、IG-430Uの場合、タングステンコーティング材及び未コーティング材共にそれぞれCX-2002Uの場合より表面温度は高いことがわかった。これは、IG-430Uの熱伝導率が、CX-2002Uより低いためであると考えられる。接合体の作製に成功したサンプルでは、熱負荷による剥離、亀裂等の発生は観察されず、熱特性は良好である(〜10MW/m^2)。基材が、CX-2002UとIG-430Uでは、熱伝導率が高いCX2002Uの方が、Wコーティング材の場合においても、表面の温度上昇は、低い。これにより、CX材の高熱伝導率をいかしたWコーティング材の製作・使用が可能なことが実証された。
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