研究概要 |
本研究は,太陽光発電技術において,コストの低減と省資源の観点から将来的に有望視されているシリコン薄膜型太陽電池の高効率化を実現するため,光学的・電気的特性の優れた微結晶シリコン薄膜を製作することを目的とする。その手法として,水素ガスのマイクロ波励起によって生成される高密度水素ラジカル(原子状水素)の膜成長表面への効果を積極的に利用することを特徴とする。平成12年度は,以下の知見が得られた。 まず,原料ガス流量を変化させることによって,水素希釈率を変化させた結果,成膜速度と共に結晶性が大きく変化し,水素希釈率が高くなるとアモルファスから微結晶への構造変化が起こることが確かめられた。水素希釈率が高い程,シリコン薄膜の結晶化は成長初期段階から始まっており,アモルファスに近い膜程(220)配向性が高いことが分かった。結晶体積率は堆積膜厚の増加と共に増大した後,一定となることが確認された。 成膜後,薄膜試料に水素ラジカル処理を行うことにより,エッチング作用と共に膜構造に変化が起こることが確かめられた。微結晶薄膜初期層への水素ラジカル処理は,非晶質基板界面からの結晶化に有効であることが分かった。 2段階成長法により,下層膜の上層膜への影響を調べた結果,下層の結晶性が上層の結晶性に強く反映することが確かめられた。また上層の結晶性が下層の膜厚にも大きく依存することが分かった。
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