研究概要 |
気泡と冷水の直接接触による製氷挙動を検討するための実験装置を作製した.本システムは,貯水中に低温空気を噴出し製氷を行う製氷槽,圧力操作により空気を冷却するための渦発生器,および空気圧縮機より構成される.製氷槽は,スラリー状氷生成挙動を観察するために,側面を透明アクリル板にて作製し,槽底部には,空気噴霧ノズルを設置した.また,連続的にスラリー状氷を生成するため,製氷槽上部には氷を取り出すオーバーフロー部を設け,液位に応じて位置を調整した.本実験装置を用い,本年度は以下の検討を行った. (1)空気噴射ノズルの検討:ノズルには氷が付着し易く空気噴出を妨げるため,熱伝導率の低い材質や氷が表面に付着し難い材料で試験を行ったが実験の継続は困難であった.一方,ドーム形状の薄膜ゴム製ノズルを用い,閉塞した場合にはノズルが膨らみ噴射孔が大きくなり,気流により氷を除去することができ連続製氷が可能となることが判明した. (2)槽内流動および熱伝達挙動に及ぼす諸因子の影響:空気温度,空気流量および製氷槽水位を実験条件に設定し,これらの諸因子が流動および熱伝達特性に及ぼす影響について検討した.その結果,空気流量により水層上部に生じる気泡層の厚さが変化し気泡と冷水との熱移動および製氷挙動に影響を及ぼすこと,特に空気流量0.1m^3/min.以下では気泡層の厚さが非常に薄くなることが明らかになった.また,製氷槽水位の影響については,水位が50mmと低い場合には,ノズルから噴出した低温空気が水層を吹き抜け,効率的に熱交換が行われないことが判明した.
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