ミクロ現象とマクロ現象の相関の解明とモデル化

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11680514
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 二ノ方 壽 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (60251675)
• 研究分担者: ZIMIN V. G. 日本原子力研究所, 東海研究所, 博士研究員 ; 村松 壽晴 核燃料サイクル開発機構, 大洗工学センター基盤技術開発部, 主任研究員 ; 澤田 哲生 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (20235469)
• キーワード: モンテカルロ法 / MVP / 中性子輸送計算 / 乱流 / 直接シミュレーション / 核熱結合現象

研究概要

本研究の目的である時間依存・空間依存の核熱結合解析の実用化に向けて、ミクロな現象としての乱流および原子炉内中性子挙動を解析する上でのシミュレーション手法の開発を行った。昨年度に引き続き、MVPおよびGMVPによる中性子輸送計算を実施。両コードの並列計算ヴァージョンを、UnixOSであるLinux(Kondora Linux/CPUはα21264A-750MHz^*)プラットフォームに移植した。MVPは中性子のミクロな挙動をモンテカルロ法で計算する。一方、GMVPは同様の手法にて光子(γ線)の輸送計算を実行する。4CPUの上記システムを用いた場合、シングルCPUでの計算に比べて、良好な条件下では約2倍の速さで計算処理が実施できる事を確認した。計算対象は、高速炉の炉心損傷時において燃料が溶融移動する際の反応度フィードバックの定量評価である。この計算は、従来、大量の計算機資源を必要としたが、並列化(PCクラスター)により比較的安価に高速計算処理が実行できる見通しを得た。原子炉内熱伝達の微細な構造を支配する乱流現象を解析する連続体近似2次解析コードを開発し、燃料集合体サブチャネル内の詳細な流連分布および、伝熱壁面上の壁せん断応力分布を計算した結果、これらが乱流の非等方性に起因する第二種二次流れに大きく影響される事が判明し、マクロな物理量としての摩擦係数および熱伝達係数のモデル化に対する有効な知見を得た。現在、さらにコードを3次元直接シミュレーションコードに拡張し、解析結果の精度向上および一般性、普遍性を担保できるように改良中である。一方、中性子輸送に関するミクロ量を均質化してマクロ量で記述する近代ノード法の精度および計算効率を向上させるために、集合体間不連続因子モデルを開発検証するとともに、中性子束の高次モード挙動を解析するモーダル解析コードを開発しマクロな物理量としての中性子束の領域振動の詳細な解析を実施し、実機データと比較してその妥当性を検証した。*2126A・750MHzはPentiumIII・800MHzの約倍速。

研究成果

• [文献書誌] 三沢丈治,二ノ方壽,V.Kriventsev: "サブチャネル内詳細流速分布予測に対する2次流れの影響"日本原子力学会2000年秋の大会予稿集. E45. (2000)
• [文献書誌] 二ノ方,村松,西村,富山 他: "原子炉熱流動の微視的シミュレーション"日本原子力学会誌. Vol.42 No.12. 1242-1259 (2000)
• [文献書誌] A.Hotta,H.Ninokata,and A.J.Baratta: "Development of Parallel Coupling System between Three Dimensional Nodal Kinetic Code ENTREE and Two-Fluid Plant Simulator TRAC/BF1"J.Nucl.Sci.Tchnol. 37(10). 840 (2000)
• [文献書誌] Hotta,H.Ninokata,Y.Takeuchi and Y.Suzawa: "Regional Instability evaluation of Ringhals Unit 1 based on extended frequency domain model"Nucl.Eng.Des.,. 200-201 (2000)
• [文献書誌] T.Sawada,H.Ninokata and H.Tomozoe: "A recriticality-free fast reactor concept"Nuclear Technology. 130. 242-251 (2000)
• [文献書誌] T.Sawada,H.Ninokata,H.Tnaneichi and H.Endo: "Characteristics of fuel melting and relocation in metallic-fueled fast reactor core and its feasibility for eliminating recriticality"Progress in Nuclear Energy. 37 No.1-4. 157-162 (2000)