研究課題/領域番号 |
11680516
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
誉田 義英 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40209333)
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研究分担者 |
吉田 陽一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50210729)
西嶋 茂宏 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (00156069)
田川 精一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80011203)
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キーワード | 陽電子 / ポジトロニウム / レーザー同期 / 複合照射 / パルスビーム |
研究概要 |
ポジトロニウムと物質との相互作用を調べることを主目的とし、これまで高密度短パルス陽電子ビームの生成と高計数率を有する短パルス陽電子ビームの生成を2台の電子線形加速器を用いてそれぞれ行ってきた。一方、レーザーとの同期については同期システムを作り、短パルス陽電子ビームが得られれば、実験できる状態にある。 高密度短パルス陽電子ビームを生成する目的は、物質中でのポジトロニウムを極短パルスレーザー(≦50fs)を用いて励起し、脱励起に伴う光のエネルギーを測定することで、物質中のポジトロニウムの状態を知ることである。本年度は、前年度行った現有のLバンド電子ライナック(エネルギー27MeV,パルス幅20ps,90nC)を利用した装置設計を基に、装置の製作・実験を行った。実験はMCPでの像の確認とBaF2シンチレーターを用いたエネルギースペクトル測定及び、511keVγ線の光電ピークの時間分布測定を試みた。このうち、エネルギースペクトル測定では消滅γ線の光電ピークの測定でき、陽電子ビームが輸送されていることはわかったが、陽電子ビーム像については陽電子生成部から同時に来る電子の影響で、明瞭に観測できなかった。また、時間分布測定によるは陽電子ビームのパルス幅の計測は現在行っているところである。 Sバンド電子ライナックを用いた、通常の陽電子パルスビームを用いた実験では、物質を構成する分子をレーザーを用いて選択的に励起することで、ポジトロニウムが特定分子と選択的に消滅していくかどうかなど、陽電子の消滅過程を調べることができ、興味深い。この目的に対して本年度は、前年度に引き続き装置の改良を行った結果、時間幅約370psの陽電子パルスビーを得ることができた。このような目的には試料として構造の揃っている高分子膜や誘導体などがよいため、これらについて、まず陽電子寿命測定など、消滅γ線計測を行った。
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