研究課題/領域番号 |
11680527
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
益永 茂樹 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (50282950)
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研究分担者 |
山室 真澄 工業技術院, 地質調査所, 主任研究官
花井 義道 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助手 (00114984)
中井 里史 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (70217644)
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キーワード | ポリ塩化ジベンゾ-p-グイオキシン / ポリ塩化ジベンゾジベンゾフラン / 宍道湖 / 東京湾 / 生物濃縮 / 食物連鎖 / 生態系 / 魚介類 |
研究概要 |
閉鎖的水域である宍道湖、および、東京湾において採取された栄養段階の異なる生物種における窒素安定同位体比とダイオキシン類の濃度を測定した。宍道湖では、魚介類としてスズキ、コノシロ、サッパ、マハゼ、ヤマトシジミ、および、それらを餌にする水鳥としてキンクロハジロとカワウを調査対象とした。東京湾ではプランクトン、底生生物、貝類、魚類(スズキ、コノシロ、エイ、カレイ、アナゴ)を調査対象とした。底生生物と魚介類は貝殻を除く全身を、水鳥は筋肉を分析した。得られた分析結果を利用して、窒素安定同位対比を用いて食物連鎖における栄養段階を推定し、栄養段階とダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾ-p-ダイオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、および、コプラナーPCB)濃度との間の関係を検討した。 ダイオキシン類の総濃度は低栄養段階のプランクトン、底生生物、貝類で高く、高栄養段階の魚類で低下したのに対して、毒性等価量(TEQ)では逆の傾向がみられた。栄養段階が高次になるにつれてのダイオキシン類の濃縮度を、各化合物の湿潤濃度-窒素同位体比のプロットにおける傾きから求めると、モノオルトco-PCB>ノンオルトco-PCB>2378-塩素置換ジベンゾフラン>2378-塩素置換ダイオキシンの順になり、高栄養段階でco-PCBが、ダイオキシンやフランに比べて濃縮されることが分かった。また、非2378-塩素置換と6塩素以上の2378-塩素置換のダイオキシンとフランのほとんどでは傾きが負となり、栄養段階による濃縮性がないことが分かった。従って、高栄養段階の生物で毒性等価量(TEQ)に占めるco-PCBの寄与が大きくなった。 以上の結果から、堆積物から貝類へのダイオキシン類蓄積を生物堆積物蓄積係数(BSAF)で表し、さらに、栄養段階による濃縮性を介すれば、堆積物と魚類のダイオキシン類蓄積との間の関係をほぼ推定できるようになった。
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