本研究は、申請者がこれまでに構築してきた「人間活動によるエネルギー・バイオマス(食料・森林)消費活動が土地利用を介して地球環境に与える影響評価モデル」に、水資源消費による影響評価が可能なモデルに発展させることを目的とするものである。研究内容を以下に示す。 1)地球環境に関するデータベースシステムの更新 申請者がこれまでに構築してきた地球環境に関するデータベースに、1960年代の世界の耕作地を中心とした土地利用分布図、人工衛星(NOAA-AVHRRおよびLANDSAT-TM)データによる現況植生図・土地利用現況図などを初めとする自然情報、および国別の人口データ、GNP、穀物別食料生産量、食料消費量原単位、穀物の輸出入量、家畜数などの社会経済情報があり、これらのデータを最新のデータに更新した。さらに、水資源消費活動評価用として、新たに、水資源消費量、降雨量、蒸発散量のデータを収集した。 2)非線形最適化法によるエネルギー・バイオマス・水資源消費活動評価モデルの構築 申請者がこれまでに構築してきた「人間活動によるエネルギー・バイオマス(食料・森林)消費活動が土地利用を介して地球環境に与える影響評価モデル」は、システムダイナミック法により記述され、世界をOECD、非OECDに分け、それらの地域特性の影響評価が可能になっている。これをGAMS(General Algebraic Modeling System)により、非線形最適化モデルで記述し直し、メッシュ単位で地域特性の評価可能なモデルに更新するためのテストランを行なった。 3)人間活動に必要な水資源消費量分布図の作成(作物必要水資源量分布図の作成) 人間活動に必要な水資源消費量分布図として、先ず、作物必要水資源量分布図を以下のように作成した。 FAOの提供するCROPWATを用い、世界の主要な地点の作物必要水深を計算し、これをメッシュ図に拡張した。
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