研究概要 |
1.ほぼ技術的に完成したマイクロ風速センサーによる流束測定と、既存の方法(熱収支ボーエン比法)による流束測定との平行観測を行った。観測地点は森林地帯の斜面(日光)であり、従来このような地点はAero dynamical Profile法の適応は不可能と考えられてきた。なおこの地域はオゾンによる森林被害が推測されている。各々の方法による時間定数の違いはあるものの、双方のオゾン流束の値はよい一致を示した。これはマイクロ風速センサーの微弱風に対する応答性能と無指向性によるものと考えられる。ただ降雨の影響および直射日光の影響を低減する更なる技術開発が必要と思われる。 2.これまでNO2,O3,H2Oなどの化学物質センサーを用いて野外で流束測定を試みたが、未だ輸送係数を求めるには至っていない。その原因はこれまで一般に推測されていたよりも沈着面付近の化学物質の濃度分布変動が速く(風速分布の変動よりも速い)、現在適応出来るセンサーの測定速度がこの変動に追随出来ないためと考えられる。そこでマクロ化学センサーの特徴を生かし、化学センサーを多数配置し水平濃度分布の時間変動により沈着量を求めることを構想し、その予備的な観測として、札幌市の大気汚染測定局の周辺に10個のバッテリー駆動・NO2マイクロセンサーをおよそ10m間隔配置し2週間の連続観測を行った。
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