放射線アポトーシスは主にp53依存性であり、放射線ストレスが引き金となりミトコドリアの応答を介して最終的にはDNAの断片化が起こる。ヒト白血病細胞U937の紫外線、あるいはMolt4細胞のX線アポトーシスでは、Caspase3依存性のPARP分解とそれに続く染色体DNAの分解を観察した。このDNA分解に関わるDNase活性はCaspase3インヒビターで約50%阻害された。一方で、Ca^<2+>やMg^<2+>で活性化され、Zn^<2+>により阻害されるDNase活性も50%程がDNA分解に寄与していた。これより、前者の活性はCaspase依存性DNase(CAD)であり、後者はCa^<2+>依存性のDNaseγであることが推察された。ラットのDNaseγの部分アミノ酸配列をもとにしてDNAprobeを作成し、ヒト(HeLa細胞)cDNAライブラリーからヒトDNaseγ遺伝子をクローニングした。ヒトDNaseγ遺伝子はラットとアミノ酸配列で約75%、DNA塩基配列で約65%の相同性を有していた。本年報告されたヒトDNaseγ遺伝子と比較したところ、HeLaでは一部アミノ酸の置換が確認できた。DNaseγ遺伝子の発現は極めて低く、転写レべル以外の制御を受けている可能性を現在検討している。 アポトーシスに先立つp53の放射線活性化機構を転写レべルから解析した。p53プロモーターの機能制御機構を解析した結果、転写開始活性の有無とストレス応答に関わる約2lbpのエレメントを同定できた。このエレメント結合性の転写因子をヒト細胞核中から検出し、遺伝子クロ―ニングを試みている。
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