研究課題/領域番号 |
11680547
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野田 朝男 神戸大学, 医学部, 講師 (40294227)
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研究分担者 |
藤原 美定 神戸大学, 医学部, 教授 (70030848)
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キーワード | p53 / apoptosis / DNaseγ / Bax / Bcl-2 / Caspase / VDAC / Cytocrome C |
研究概要 |
平成12年度は放射線アポトーシスにおけるDNase活性化シグナルの解明に重点を置いて研究を展開した。p53依存性の放射線アポトーシスの機構をp53の発現の有無と対比させて解析した。用いた細胞は、Molt4細胞(p53^+)、Black93(p53^+)、Reh(p53^-)、p53^<(+)>とp53^<(-)>マウス由来胸腺細胞である。p53^<(-)>のマウス胸腺細胞とp53^<(-)>/Bax^<(-)>/Bcl-2^<(+)>/Bcl-XL^<(+)>の表現型を示すReh細胞は著しくアポトーシス抵抗性であった。p53^<(+)>細胞では、放射線照射により細胞内在性のp53は主にSer15のリン酸化を受け、核内に蓄積された。この結果としてBcl-2の抑制とBaxの発現促進が観察され、蛋白質レベルにおいても放射線によりミトコンドリアへの細胞質からのBax転移の上昇と、Bcl-2とBclXLのミトコンドリアからの減少がアポトーシス誘導と強く関連していることを明らかとした。分離ミトコンドリア(MT)を用いたアポトーシス再構成実験では、MT外膜にあるVDACに結合したBaxの増加が重要であることが示唆された。MT結合性のBaxの経時的な増加は、分離MTからのチトクロームC(CytC)の遊離と相関しており、さらにこの遊離CytCがcaspase9やCaspase3の活性化に直接的に関わっていると思われた。以上の結果より、p53依存性のアポトーシスにおいてCaspase3の活性化とそれに続くDNase(CAD)の活性化機構は一連のシグナル伝達として理解できる状況に到達した。一方、放射線アポトーシスにおいて、Caspase3非依存性DNase活性もDNAラダー形成を指標として検出されてきているがこの本体はこれまでの研究ではDNaseγではない可能性が示唆された。この実体を解明することが今後の課題となった。
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